夢・2
みちくさ vol.50 No.2 (2024)
最近、どうか夢であってほしいと思うようなニュースが多すぎる。海外ではロシアのウクライナ侵略、そこにイスラエルのガザ地区への爆撃などで、第3次世界大戦の予兆の感すらある。
そこにロシアの大統領P氏の政敵・対抗馬暗殺事件である。最近ではナバリヌイ氏の事件が有名であるが、ほかにも数多く報告されているとのことである。 ・ アンナ・ポリトコフスカヤ記者(2004年):ロシア政府に批判的な記者であった彼女は、機内で出された紅茶を飲んで意識不明の重体になり、この時は奇跡的に回復したが、わずか2年後に自宅アパートのエレベーター内で射殺体で見つかった。 ・ アレクサンドル・リトビネンコ氏(2006年):彼はロシアの元スパイで、ロンドンで緑茶を飲んでいた直前に猛毒の放射性物質「ポロニウム210」が混入されたことが判明し、3週間後に死亡。英国の調査委員会は、ロシアの情報機関「連邦保安局」(FSB)の指示で実行された可能性が高いと結論づけている。
そして、前述のアレクセイ・ナバリヌイ氏である。彼はロシアの代表的な反政権活動家で、2020年、飛行機の中で意識を失って重体となっており、彼の側近は「政権に毒物を盛られた」と主張している。氏はその後帰国し、獄中から政治活動を展開していたが、2024年、不審な死亡が報告された。
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が乗っていた自家用ジェット機が墜落した事件は、以上とは少し様子が異なるかもしれないが、いずれにしろ、これらの事件は、ロシア政府の深い闇と政治的な闘争が絡んでおり、真相が明らかにならないことが多いようである。そして、これらの暗殺事件は、政権に敵対する人々に対する警告や見せしめとしても機能していると言える。
この方、元KGBのスパイという経歴の持ち主であったというからこれは「夢」ではなく「事実は小説より奇なり」の範疇に入るのであろう。まさにかつてのスパイ映画「007シリーズ」の実写版を見ているような気がしている。「実録007ロシアより愛をこめて」なんてどうだろう。
(徒然亭)
夢
みちくさ vol.50 No.1 (2024)
昨年の十二月の初めだったろうか、朝起きてテレビをつけると、「大谷翔平・カブスと契約!」と報じている。「フーン、ドジャースじゃあないんだ。カブスということは鈴木誠也と同僚になるわけか」などと思ってしまった。
これはまさに「夢の中の話」であったことはその後の展開をみれば明らかなのだが、それにしても、最近見ることがほとんどなくなった僕の「夢」のテーマが大谷翔平だったことは不思議な感じがした。もっとも最近の情報によれば、カブスと契約したのは大谷ではなく今永昇太、また松井裕樹がダルビッシュ有の在籍するパドレスに入団したというから、前述の僕が見た夢も半分くらいは正夢だったのかもしれない。
夢を見る理由については現在のところ不明なのだそうで、そのメカニズムも、研究対象となっている部分が多いらしい。例えば、一般的には夢は浅い眠りに陥るレム睡眠中に見るとされ、ノンレム睡眠時は発現されないと考えられているものの、ノンレム睡眠時にも夢を見ると考える研究者も多いという。そして、通常、睡眠中はそれが夢だとは意識しておらず、目覚めた後に自分が感じていたことが夢だったと意識されるようになるのだが、自分が今見ているものが、夢であることを自覚することが出来る場合もある、とのことだ。
ところで落語にもよく夢の話が出てくる。有名なのは「芝浜」「夢の酒」「天狗裁き」「鼠穴」など。これらのうち「芝浜」を除く作品には、確かに夢の場面は出てくるが、「芝浜」ではそのような場面はないのである。
また、映画「男はつらいよ」の冒頭の夢のシーンも寅さんの見た、あるいは「見たい」夢なのだろうと思う。
さて、僕のこれまで見た夢で、一番覚えているのは、就職してしばらくした頃見たものであるから、もう五十年以上前のことになる。当時の就職先の事務に「卒業証明書」の提出を求められ、なぜかわざわざ、大学の事務の窓口に向かった。
私:昭和○○年××学科卒業の△△です。
事務方:少々お待ちください。(と言って奥に引っ込む。そして)......あのう、卒業者名簿にお名前がないんですが。
私:えっ(絶句)。.........なんだ、夢か......
(徒然亭)
最近見直している「寅さん」・2
みちくさ vol.49 No.6 (2023)
半年前の本コーナーでBSテレ東での映画「男はつらいよ」全作の再放送のことを書いていた。
実はこの映画に関係する原作・脚本・監督の山田洋次さん、主演であった渥美清さんにまつわる話題はそれ以前にも本コーナーで何回か取り上げている。
そこでは『印象に残る作品といえば、マドンナ役ではなく、名優が重要な脇役で出てくるものである。例えば、一・八・二二作での博の父親役、志村喬、二・七作での母親役、ミヤコ蝶々、一七作での日本画の大家役、宇野重吉、等々、書き出せばきりがない。
それに、山田洋次さんのその時代の切り取り方、とでも言うのだろうか、今ではもう見ることが難しくなってしまった「風景」が画像として収録されていること。』と書いている。
この原稿執筆時点での最新作(?)は第三一作で都はるみがマドンナ役という、少し珍しいものであった。この作品、「男はつらいよ・ランキング」では「四二位・評価D」とある。筆者自身もこれまで、あまり真面目に見たこともない作品ではあったようには思う。名優が出てくるわけでもない。ただ、ロケ地である佐渡島の風景はとても印象に残るのである。
あと前回書いた「鉄分度」(鉄道関係の魅力度)が「5」の作品を書いておこう。個人的には納得がいかないところは多いが...。
第五作:望郷篇/長山藍子/北海道(小樽)
第九作:柴又慕情/吉永小百合/石川県(金沢)
第一一作:寅次郎忘れな草/浅丘ルリ子/北海道(網走)
第一五作:寅次郎相合い傘/浅丘ルリ子/青森県(青森)、北海道(函館、長万部)
第一八作:寅次郎純情詩集/京マチ子/長野県(別所温泉)、新潟県(六日町)
第二二作:噂の寅次郎/大原麗子/長野県(木曽福島)、静岡県(大井川)
第三四作:寅次郎真実一路/大原麗子/鹿児島県(枕崎・指宿)
第四四作:寅次郎の告白/吉田日出子/鳥取県、岐阜県(奥恵那峡・蛭川)
第四八作:寅次郎紅の花/浅丘ルリ子/岡山県(滝尾・津山)
(徒然亭)
生成AIをつかってみる
みちくさ vol.49 No.5 (2023)
前回の「生成AI」の件の続きである。筆者が使っているのはマイクロソフトの〈Bing〉であり、これは『人工知能(AI)を使用した検索エンジンで、ユーザーの質問や会話に対する回答を、単に検索結果から提示するのではなく、質問の意図や現在の状況を把握したうえで、回答を返してくれます。』ということなのだが、その仕組みがよく分からない。
ただこうしたソフトの中で最も有名なのが〈ChatGPT〉であろうと思い、数名の方に、これをつかって、
1:「カーボンニュートラル」って何ですか
2:「カーボンニュートラルの学術的意味」って何ですか
と聞いてみていただけませんか
とのメールを送ってみた。
その回答が送られてきた。読むと、基本的には前回書いた〈Bing〉での内容と同じではあるが、しっかりした文章になっており、とくに2の問いも対する回答を要約すると、
『カーボンニュートラルは環境問題に対処する戦略として広く知られているが、学術的な文脈ではより厳密な定義と要件が考慮され、これを達成するには以下の条件が満たされている必要がある。
1:温室効果ガスの排出削減
2:残りの排出量のカーボンオフセット
3:温室効果ガスの追跡と報告
学術的な文脈では、カーボンニュートラルを達成するための技術や方法論に対する研究や評価が行われる。また、政策立案や企業戦略においても、科学的根拠に基づいたアプローチが重要視される。カーボンニュートラルの学術的な意味は、環境問題に対処する上で重要な基準となる。さらに、カーボンニュートラルを実現するためには地域や産業、企業などが連携して取り組むことが重要であり、政策立案や技術開発、環境保護への投資、市民の参加など多様な要素が結びついて成し遂げられる概念である。』というわけで、いろいろ参考となるところも多い。
また、「○○ってなに?500文字以内で説明して」といった感じの質問もできるという。この手を使えばこのコーナーの原稿なんぞあっという間に終わるんだが...。まぁ、そうもいくまい。
(徒然亭)
生成AIとBing
みちくさ vol.49 No.4 (2023)
筆者のパソコンにいつの間にか各種ソフトウェアがアップデートされてしまっていることがしばしばある。その一つがマイクロソフトのBingである。最近、面白がってこれを使い始めてみているが、これと生成AIの違いがよく分からなくなり(以下、Bing:Bと略)、「Bと生成AIは違うのですか」とBに質問してみた。
そしてその答えの要約。
『Bは、検索エンジンであり、検索結果を提供するために人工知能(B・AI)を使用しています。一方、生成AIは、新しいデータや情報を生成するための機械学習手法の一つです。
B・AIはユーザーの質問や会話に対する回答を、単に検索結果から提示するのではなく、質問お糸や現在の状況を把握したうえで、回答を返してくれます。そして、ChatGPTと同じくらいの賢さを持ちながら、検索エンジンBの技術も持ち合わせています。』
......だそうです。
さて、生成AIは、ユーザーの質問や要求に対し、データベースに保存されているデータに基づいて新しいデータを生成していくわけであるから、質問の仕方によって回答が異なることがある。
たとえば「カーボンニュートラルとは何ですか」と質問すると、
『環境に関する用語で、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味する。日本政府の宣言によれば、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」のがカーボンニュートラルで、二酸化炭素などの温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」を「均衡させること」を意味し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つである。』
一方「カーボンニュートラルの定義とは何ですか」と質問すると、
『環境に関する用語で、本来は、「植物や植物由来の燃料を燃焼して二酸化炭素が発生しても、その植物は成長過程で二酸化炭素を吸収しており、ライフサイクル全体(始めから終わりまで)でみると大気中の二酸化炭素を増加させず、二酸化炭素排出量の収支は実質ゼロになる」という考え方である。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。』となる。ずいぶん違う。気を付けたい。
(徒然亭)