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木材劣化診断の実践的現場研修
大阪の例
木材劣化診断士委員会では、大阪市立総合医療センター(大阪市)の依頼を受けて、同センターの大断面集成材製の木製モニュメントの劣化診断を調査研究として実施しました(平成23年6月30日)。この調査には有志の木材劣化診断士も参加し、実践的な診断技術を習得して頂きました。視診・触診・打診調査による木部および接着層の診断の他、含水率計測やレジストグラフを用いた強度評価を行い、報告書を同センターに提供しました。同センターでは調査結果に基づいて補修計画を立てられました。
静岡の例
木材劣化診断士委員会では、静岡市の依頼を受けて平成23年12月12日(月)に蒲原東部コミュニティセンターの劣化診断を実施しました。この建物は、大断面湾曲集成材(カラマツ)を「表わし」で使用しており、外観は優雅な曲線美を醸し出しています。しかし、建築後18年半が経過して構造部材に蟻害の兆候が認められたため、今回の劣化診断を実施することになりました。
この調査には木材劣化診断士4名が参加し、実践的な診断技術を習得して頂きました。まず、視診・触診・打診による外周壁木部の一次診断を実施し、次にピロディン及びレジストグラフを用いて二次診断を実施して生物劣化の種別と劣化範囲、断面欠損率等の評価を行い、報告書を管理者に提出しました。静岡市では、調査結果に基づいてシロアリ駆除を実施し、現在、具体的な補修計画を立案中です。
建物の外観(湾曲集成材が優雅な曲線美を醸し出しているが雨仕舞いに難点がある)
柱脚部のマーキング事例
[柱番号、腐朽・蟻害の区別(Tは蟻害、Dは腐朽)、ピロディン貫入値等が養生テープに記載されている。ノートへのデータ転記及び写真撮影後に、テープは剥がされる。もちろん、二次診断時に形成された細穴には撥水性の防腐・防蟻剤が噴霧されます]