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セント・アンドリュース オールドコース
虫めがね vol.50 No.6 (2024)
今年のAIG(全英)女子オープンは八月二二日から二五日の四日間、スコットランドのセント・アンドリュース オールドコース(以下S.A.オールドコースと呼ぶ)で開催された。ニュージーランドのリディア・コが優勝した。日本からは一九名の女子選手が参加し、岩井明愛と西郷真央が同点で七位に入った。
S.A.オールドコースは四七〇年以上の歴史を持ち、ゴルフ発祥の地として知られている。「ゴルフの聖地」とも呼ばれており、世界中のゴルフ場がここのコースを原型として作られている。このコースは、強い風、蛸壺バンカー、それに深いラフで有名である。世界のどこのゴルフ場のバンカーにも砂が入れてあるのは、この辺りは海岸に近いので穴を掘ると下はどこも砂地であったためである。
三六年前の夏にわたしはこのコースでプレーしたことがある。その頃はわたしもまだ球の飛距離は出ていたので一七番ホールのホテルの屋根越えのティショットは無事に越えた。中島常幸プロが捕まってギブアップしたと聞く蛸壺バンカーにわたしも入れてしまった。中島プロはバンカーは打ち出したものの、その球が飛び過ぎて反対側のバンカーに入ってしまい、結局九打も叩きギブアップしたとキャデイに聞いた。わたしはこの蛸壺は運よく脱出できた。
一八ホール中一四ホールはアウトとインが共用の巨大なダブルグリーンになっている。同じグリーンにアウト用の白旗、イン用の赤旗の二本が立っているわけである。慣れていない人は迷うので現地のキャデイをつけるように指示された。ゴルフカートは無く、全員がゴルフバッグは自分で担ぐか、キャデイを使うことになっている。
日本のゴルフコースのほとんどはアウトコースとインコースとがあってもその両方ともゲストハウスに戻ってくる。なぜアウトとインと呼ぶのか分からなかった。S.A.オールドコースのアウトコースはゲストハウスから一方的に遠ざかる。インコースになって今度はゲストハウスに戻ってくる。これでアウト(往路)とイン(復路)の意味が理解できた。
ゴルフで分からないのはアウトが九ホールでインが九ホール、合計一八ホールである。なぜ、一〇ホール、一〇ホールの合計二〇ホールにしなかったのかである。わたしは現地でプレーしている時にスコットランド人に尋ねたことがある。彼の答えは、「スコットランドは寒いのでスコッチウイスキーを小ボトルに入れて持って行き、一ホール終わるごとにキャップ一杯のウイスキーを飲んで温まる。ちょうど一八ホール終わった時にウイスキーは空になる」ということであった。この説明の真偽は不明だが、スコットランドのゴルフ場の売店ではちょうどキャップ一八杯で飲み干せると思えるウイスキー用のしゃれた小ボトルが売られていた。
♪新緑や空に吸い込むゴルフ球
(赤タイ)