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プラスチック塵と海洋汚染

虫めがね vol.45 No.5 (2019)

プラスチック塵が大量に海に流れ込み、生物に大きな被害を与えていると問題になっている。国際環境NGO「グリーンピース」の調査によると、死んだクジラ、イルカ、ウミガメ、海鳥などの胃や腸から大量のプラスチック片が発見された。レジ袋やペットボトルの破片などを誤って飲み込んで、それらが胃や腸にたまり、その結果、餌を捕食できず、栄養失調で死んだとみられる。プラスチック塵は太平洋や大西洋のみならず、北極海や南極海も汚染していることが判っている。プラスチック塵が海へ流出すると漂いながら紫外線などで砕け、5㍉以下のマイクロプラスチックになる。これがイワシやアジやサバなどの体内に取り込まれ、次に我々がこれらの魚を捕食することになる。

今年(令和元年)六月に大阪で開かれたGサミット(主要カ国地域首脳会議)でもこの問題は取り上げられて「大阪ブルーオーシャン・ビジョン」が首脳宣言に盛り込まれた。スーパーなどの買い物で入れてもらうレジ袋や、飲み物に使うプラスチックのストローなどは近く使用禁止となるそうだ。

人類の歴史は、石器時代→青銅器時代→鉄器時代を過ぎて今ではプラスチック時代と言われている。おもちゃ屋に行けば、わたしの子どもの頃は、木や厚紙で作られていたおもちゃが、今ではほとんどがプラスチック製である。台所には、醤油、酢などの容器はガラス瓶だったのが今ではプラスチック容器が多い。浴室に行けば、浴槽、湯桶、浴槽椅子などいろいろ目につく。生活用品のみならず、自動車、新幹線、飛行機などの輸送機関にも大量にプラスチックが使われている。プラスチックは丈夫で加工がしやすく、軽くて腐らないなどの優れた性質を持つために、我々の生活のいたるところにプラスチックが存在する。

人類はこれまでプラスチックのような素晴らしい物が環境汚染を起こし、人類の害になるなどは全く予想もせず、プラスチックを利用してきた。これらは人間にとっては想定外のことであったのだ。

環境汚染に共通するキーワードは「丈夫で長持ち」と「大量使用」の二つである。石器は使用後、砕ければ土に戻る。青銅器も鉄器も錆びて壊れれば、これも土に戻る。石も青銅も鉄も元は地球の成分である。ところが、プラスチックは化学的に安定である為にいつまでも地球上に存在し続ける。「丈夫で長持ち」の性質はいずれ地球の負荷となり、環境汚染を起こす。少量を細々と使っておれば、地球にとって大きな負荷とならず、問題も小さくて済むのであろうが、安くて良い物なのでつい大量に使ってしまう。人間の小智であろうか。

♪人類は今や地球のお荷物か

(赤タイ)

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