木材保存誌コラム

ホーム > 木材保存誌コラム > みちくさ

木材保存誌コラム

「子供の回」

みちくさ vol.37 No.4 (2011)

37-4_michikusa.JPG英会話上達の話に戻りましょう。幼稚園に子供を迎えに行くと、さすがに外国、人見知りしない子供達がぞろぞろ寄ってきて、何やら流暢な英語で話しかけてきます。子供の英語は聞き取りやすいと良くいいますが、残念なことにそんなことはありません。そして腹立たしいことに、滑らかな英語っぷりを聞いていると、明らかに自分より上手に英語を喋っている事に気がついてしまいます。認めたくはないですが、この国では私は子供より下のようです。

自宅の向かいの小学生の子供二人がしばしば我が家に遊びに来ます。こちらもなかなか流暢な英語を喋るので、どっちを向いても完敗だなと思っていましたが、ある日、何を言ってるのか分からないので紙に書いてもらいました。しかし所詮は子供、字の下手さと綴りの間違いに、ははーん、これは明らかに勝っている、一勝一敗だなと心の中で思いました。

職場では、子供じゃないんだからtruckとtrackの綴りを間違えちゃ駄目だよと、レベルの低い指摘をされますが、そんな大人の彼らも私の得意な受験英単語occasionallyを正しく綴れない事を私は知っています。これで二勝二敗、再び五分といったところでしょうか。

さて、少しは流暢に喋れるようになると僅かにも勝ち越しになりますね。どうしたらいいでしょうか?向かいの子供が教えてくれました。「私は本読みをしてるから上手に喋れるわ。英語教えてあげるね。(多分)」そう、私はまたここで英語上達の重要な法則に気が付いてしまったのです。この示唆に基づいて科学的に考えると、大きな声で毎日本読みをすれば、いつの日か英語が流暢に喋れるようになることを意味しています。何故、今までこんな大事なことを誰も教えてくれなかったのでしょうか。そしてここから、また私の科学的英会話の快進撃が始まるのでした。

(世界の木窓から)

ページトップ

「Messages from New Zealand」

みちくさ vol.37 No.3 (2011)

地震の被害を受けた日本を励ます声が、世界中から寄せられていることを既に皆さんは各種メディアを通じてご存知のことと思います。特に英紙一面や米紙社説で日本を応援するメッセージが掲載されたことは記憶に新しいのではないでしょうか。ニュージーランドでも先の大地震の際に日本から最も素早く支援が寄せられたことを折に触れ、今度は私たちが助ける番だと、国を挙げての支援を表明しています。小さな国のため、日本ではほとんど紹介されていないと思いますが、ここでご紹介させて頂きたいと思います。

地震直後の政府の公式ウェブサイト(抜粋)では、“The sympathies of all New Zealanders go out to the Japanese people and Government, who are grappling with this major disaster.” “Japan responded to the tragic Christchurch earthquake last month with enormous support, including urban search and rescue personnel.” “We are happy to provide whatever assistance we can, as Japan faces its own disaster.” “Our hearts go out to the Japanese Government and its people.” “Our deepest sympathies are with those who have been caught up in this most terrible event.”( 3/12 Prime Minister John Key)

日を置いて(抜粋)、“I wish to express the deepest sympathies and condolences of the New Zealand Government to Japan. Our hearts go out to all those affected, especially those who have lost loved ones or those who are waiting to hear news of loved ones.” また、官首相との電話会談に触れ、“Mr. Kan passed on Japan’s sincere appreciation for New Zealand’s support, including the swift despatch of a New Zealand Urban Search and Rescue team, which is in Japan now.” “New Zealand and Japan are great friends.”( 3/15 Prime Minister John Key)

同日に(抜粋)、“We value the strong relationship between our two countries, and I know the recent tragedies here and in Japan will bring our people even closer.” “When Christchurch was devastated by an earthquake, Japan was one of many countries which offered immediate assistance.” “New Zealand will help in any way we can as Japan overcomes this tragedy.” “Japan stood by us in our time of need and we will stand by Japan in its time of need. Our urban search and rescue team is now deployed in the field in Japan. In addition to this team, we will be happy to provide whatever assistance we can in the days and weeks ahead.” “Our heartfelt thoughts are with the people of Japan as they come to terms with this disaster and mourn the loss of so many lives.”( 3/15 Prime Minister John Key)

最後に、国内発行部数二位の大手The Dominion Post 紙3/15日付の社説“Japan has support of the world”より、“Japan is not alone. The world stands ready to help.”

(世界の木窓から)

ページトップ

害虫退治に大奮闘の回-サンドフライ編2-

みちくさ vol.37 No.2 (2011)

37-2_michikusa.jpg準備万端でサンドフライを待ち構えようと思っていたのですが、夏前に数箇所一度に襲われるという予想外の事態が起こりました。確かに赤く膨れ上がり、非常に痒いです。個人差はあると思うのですが、抗炎症剤入りの痒み止めを塗っても、あまり腫れも痒みも引かないことが分かりました。現地の人に聞くと外国人の血が大好きらしいと、根拠はなさそうだけど何となく信じてしまうコメントが返ってきました。

いずれにしても、このままでは勝てないと悟り、ポイズンリムーバー(針のない注射器のような毒抜き)を購入して、刺されても大丈夫な体制に切り替える事にしました。ところが、いくら探しても売っていません。再び現地の人に聞くと、この国にはヘビがいないから必要ないので売っていないということでした。シロアリ、ゴキブリに加えて、ヘビがいないようです(クマもいないそうです)。売ってないなら仕方がないですが、あの痒みを思い出すと、手段を問うている場合ではないと思い、日本から取り寄せました。

そしてついに本格的な夏を迎えました。喉元過ぎればという訳ではないですが、科学の進歩に犠牲は付き物と自分に言い聞かせ、肌を出したまま庭をふらついてみました(かつてジェンナーは自分の子供で実験したようですが、私は科学的探究心と家族愛から自分で実験しました)。肌に微妙な感触を感じた後、痒みを徐々に感じ出しました。痒みのする付近を良く見てみると、黒くて小さな日本で言う生ゴミに集まるような羽虫がとまっています。潰さないように慎重につかまえてよく見てみると、確かにハエに良く似ています。しかし、ハエよりかなり小さいです。服を着ていても刺されると聞いたことがありますが、あまりに小さくて軽いので、風でひらひら舞って服の中にも偶然入ってきそうです。聞くところによると、一旦、皮膚に止まった後、吸い付くまで微妙な間があるようで、気をつけていればその間に殺すことも可能だとのことです。

急いでポイズンリムーバーで刺されたところを吸ってみましたが、刺された箇所から何ら毒汁らしきものが出てきたようには見えません。吸い出せているのか良く分からないけど、まあいいかと思い、痒み止めを上から塗っておきました。比較として、ポイズンリムーバーを使わずに痒み止めだけを塗った箇所も残しておきました。

翌日、ポイズンリムーバーを使用した箇所は使用していない箇所に比べて痒み、腫れ共に少ないように感じました。1週間ぐらいたつと、その差はより顕著になったような気がしました。毒液が吸いだされたのか、拡散が抑えられたのか、強く吸いすぎて痛みとかゆみが打ち消しあったのか、或いは、プラセボ的な気の持ちようのせいなのかはよく分かりません。

これまでの検証結果をまとめてみました。どうも日本人はサンドフライには痒み止めだけでは勝てないのではないかと思われました。何回も刺されたら免疫ができるらしいですが、そんな気長なことは普通の人にはとても無理なように思えます。予防するにはやはり虫除けがいいでしょう。ピレスロイド系の虫除けを試してみましたが、確かに今のところ刺されていません。これが偶然なのかどうかは更なる長期的な検証が必要でしょう。うっかりやられてしまった場合は、ポイズンリムーバーと痒み止めの併用が効果があるように思いました。これも更に検証が必要なように思います。より多くの被験者を確保するために、該当地域を訪れた時は、皆さんもぜひ試してみて下さい。

(世界の木窓から)

ページトップ

害虫退治に大奮闘の回-サンドフライ編1-

みちくさ vol.37 No.1 (2011)

隣国のオーストラリアにはシロアリもゴキブリも普通にいるのに、当地ニュージーランドにはなぜかこの2種はいないようで(現地人談)、快適な国だなあと思っていましたが、そうはうまくいかないようです。当地では代表的な厄介虫としてハエとサンドフライの2種が挙げられると聞きます。どうやってこれらを克服していけばよいのかを考えることにしました。

サンドフライをご存知でしょうか。私は知りませんでした。当地には蚊よりもたくさんのサンドフライがいるらしいのですが、何でも知っているWikipedia先生でも日本版には掲載されていないようです。現地版のWikipediaやその他のインターネットのサイトを見る限りでは、ブヨのような人の血を吸う小さな昆虫でハエに見かけが良く似ており、水辺を好み、夏の朝方夕方に大量発生し、免疫のない人が噛まれる?と赤くはれ上がり、その痒さは蚊の比ではなく2週間以上に渡ってかゆみが継続し、夜も眠れないほどとなっています。日本の蚊取り線香や虫除け、痒み止めは効果がないとの不満の声が聞かれます。

良く分かりませんが、非常に恐ろしい虫だということが容易に想像されます。こんなものに刺されたら大変なことになりそうなので、夏前から予防策を張ることにしました。まず敵を知るために、PubMedで論文検索を行った結果、サンドフライはオセアニアに生息するのみでなく、南米やアフリカにも大量に生息し、むしろこちらで病気を媒介する害虫としてWHOのやり玉に挙げられていることが分かりました。予防策を研究した論文は多数見られますが、代表的なものとしてピレスロイド系薬剤が有効なようで、天然のピレスリンも効果があると述べられています。ということは、日本の蚊取り線香が効かないということはないでしょう。恐らく、日本の蚊取り線香のピレスロイド系薬剤もある程度は効果があると思われますが、これは蚊をターゲットにしたものなので、サンドフライには別の種類のピレスロイド系化合物がより有効だということが正しいかもしれません。実際、スーパー等で売られているスプレー式の殺虫剤でサンドフライに有効だと書かれているものはピレスロイド系薬剤の混合物の組成となっています。

虫除けはどうでしょうか。薬局でサンドフライ用の虫除けを見てみると主要なものはDEETが主成分となっており、濃度40%なんてものも普通に売られています(最大で80%まであるようです)。普段はリスクとベネフィットだと説いていますが、さすがに熱帯雨林に行くわけでもないのに、これはためらわれます。新成分と大きく書かれたものを何個か見つけると、こちらはいずれもピレスロイド系薬剤の単一組成となっています。しかしながら、日本でもDEETを配合した虫除けは普通に売られていることから、日本の虫除けが効かないということもないように思えます。濃度の問題でしょうか。

サンドフライ用の痒み止めを買おうとすると、痒み止めのみのものと、痒み止めに抗炎症剤を配合したものの2種があると薬局の人が説明してくれました(ような気がする)。抗炎症剤入りのものを買っておけば大丈夫だろうと考え、後者を購入しました。 そして、ついに夏がやってきました(つづく)。

(世界の木窓から)

ページトップ

前の5件 4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14