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最近、よく考えること
みちくさ vol.45 No.2 (2019)
昨年、これからの木材利用について、いくつかの講演、原稿執筆、それに報告書等の作成といった仕事が続いた。そこで考えることが多くなったのは「林業と林産業の連携」の件である。ここでその詳細を繰り返すわけにもいかない。一言だけ言えば、この連携の目指すものは、森林資源の持続的利用の保証にほかならない、ということではないか、と思っている。
こうした仕事を進める際には、その都度、新資料を探すわけだが、結構頼りになるのは、以前に書いた雑文や随筆を含めた諸文章と発表用の各種ファイルである。
諸文章の方は印刷物からOCR処理したものを含め、一九八〇年代以降、百編以上はあるだろう。必要に応じてこれらを眺め、書いた頃のことを思い出したりするわけだ。なかには完全に忘れていたものや、同じ繰り返しがあったり、今では書けそうもない「発想」があったりで、それはそれで時間経過が分かって面白い。
時々リニューアルをしなければならないのは各種統計資料である。林野庁ほかの省庁の資料を探すこともある。「改ざん・隠ぺい」のないことを祈るしかない。
もう一つの視点は木材行政施策の変遷である。これは少し長い目で、世界経済等の裏事情を勘案して見ておく必要があろう。「平成期」では二〇一〇年「森林林業再生プラン」「公共建築物等木材利用促進法」が目立っているが、ここに至る経緯とこの後の動向評価を行う時期が来そうである。
筆者の専攻の林産学である。学生時代の教育内容は次第に林学から離れていく頃で、林業のことはほとんど勉強していなかった。しかし「森林資源の持続的利用」というからには、これから「どのような森林を造っていくのか」といったテーマに着目していく必要がありそうだ。「再造林問題」「低密度植栽木の材質」あたりのことを林産学として考えてみたいと思っている。
ところで一九九一年公表の「諸文章」のなかに、ある林家の人からの発言として『我々は行政の指導のもとに生長量を重視して造林、育林を行ってきたものである。それが、伐期に達するころになり、材質が問題だ、これを考える必要がある、といまさら言われても困る。お集りの先生方からも、一貫した林野行政を行うよう行政サイドに働きかけてもらいたい。』と紹介されていた。
(徒然亭)