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曲名は?

みちくさ vol.44 No.4 (2018)

ANAの機内オーディオにクラシック音楽のプログラムがあり、しばらく以前にパーソナリティと番組テーマ曲が新しくなった。ところが、このテーマ曲が分からない。特に調べる気もなかったが、ずーっと引っかかっていた。

六月、スペインに関係する曲目を選んだオーケストラのコンサートがあり、そこで、ラロのスペイン交響曲などと並んで、フランスの作曲家イベールによる組曲「寄港地」が演奏された。これはなかなか面白い曲で、ずいぶん以前から知っていたのだが、無論、生で聴くのは初めてであった。オボーエ、フルートなどの管楽器がとてもよかった。

その後、「そういえばCDもあったはず」ということで、自宅で「イベール作品集」を引っぱり出し、久しぶりに聴くことにした。冒頭に入っている「寄港地」が終わった後も、そのまま音を出し続けた。そして何曲目か後、流れてきたのが、例のテーマ曲であった。「モーツァルトへのオマージュ」といい、モーツァルト生誕二百年記念企画のひとつとして作曲されたとのことであるが、これにはいささか驚いた。

調べてみると、この曲の選定理由を書いたブログがあって、そこには「テーマ曲って、キャッチーで華やかで、でも演奏会ではあまり耳にしない曲がいいと思っている。耳タコになって、曲が擦り切れてしまうのを避けるために。」とある。

なるほどねぇ。なおこのブログには、筆者所有と同じCDのジャケットも掲載されている。

一方、時々、頭の中で何かの曲が駆け巡り、なかなか消えないこともある。それがクラシックのこともあるし、ロックやフォークのこともある。

この間はピアノ曲。ただ、どうにも曲名が思い出せない。どうもシューベルト最晩年(といっても三十一歳)の曲だったと思うので、この原稿を書くためにCDをチェックすることにした。そしてようやく見つけたのが、ソナタ二〇番、D959の第二楽章、アンダンティーノ。嬰ヘ短調の寂しい曲である。

しかし、この曲、数回しか聞いたことがなかったはずなのに、どうして頭の中から消えなかったのだろう、どうにも不思議ではある。曲調が「徘徊老人」のようでもあったからだろうか。

(徒然亭)

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