広島で
みちくさ vol.43 No.5 (2017)
数日前まで建築学会の大会があり、これに参加していた。会場は五日市にある広島工大。
一万人近くも参加する学会大会である。僕は広島市内、それも駅前のホテルを予約することができたが、それが不可能で、やむなく連日、岩国(山口県)から通った人もかなりいたとの由。もっとも、JRでは広島から岩国まで各駅停車でほぼ一時間、広島・五日市間は二十数分だから、会場と宿泊地の往復だけを考えるなら、どちらに泊まろうと時間的なロスに大きな差はない。ただし懇親会の大半は広島市内で行われており、これに出席するのも重要な仕事である。そう考えると......。
さて、広島から岩国までは、錦帯橋を見に行くために、以前乗ったことがある。この宮島以西、岩国までがほぼ海沿いを走る。とくにカキ養殖用の筏とその向こうに厳島が見える大野瀬戸あたりはなかなかよろしい。
広島・宮島間にはJRと並行して広島電鉄が走っている。これは広島から繁華街を経由して西広島までが併用軌道、そこから宮島(広電は「宮島口」)まで専用軌道。この間にも何回か乗ったことがあり、錦帯橋に行った時の帰りも宮島で下車、厳島神社に「JR連絡船」で渡っている。全区間乗れば一時間と少し。廿日市と宮島の間は、ほぼ海が見え、結構、頑張って走る。ただかなり揺れる。 ところで、山陽路の在来線鉄道の、このような走行区間は意外に少ないらしい。広島県内でも広島以東はまさに山の中で、東に向かっていくと通称「瀬野八(せのはち)」と呼ばれる急勾配の坂がある。
以前、広島大学で行われた建築学会のときはJR西条が最寄り駅であったため、この路線電車の運転席の後ろ、あるいは再後部に陣取ったものだった。この連続勾配、長さは十キロを超えており、行けども行けども、上りあるいは下り。上りでは電車が旧型であったせいもあろうが、まさに息切れしそうな、下りは奈落の底に落ちそうな感じがした。
最近でもこの区間の電機牽引の貨物は後補機(要するに後ろから押す機関車)を付けているそうで、にも拘らず、雨の日などスリップするなどのトラブルが発生するのだそうである。
電車も新型になったようだし、もう一度乗ってみたいと思う。
(徒然亭)