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在来線の勧め・その2「寸断鉄路の再興」
みちくさ vol.42 No.1 (2016)
前回に続き、またまた鉄道ネタである。ただし、少々重く、かつマニアックになりそうだ。ご容赦。
というのは、先般、書店で「JR崩壊」という、えらく物騒なタイトルの本を見つけてしまったためである。発刊は二〇一三年一二月、内容の中心は当時(というか、今でも)頻発していた「JR北海道」関連の事故とその原因を扱ったものである。帯には「緊急出版!この事態は国鉄民営化の時に予知されていた!」とある。角川書店刊。
要は、一九八七年の「民営化」のとき、本州三社を除く、北海道・九州・四国の各社には運営資金が渡され、その運用益でなんとかできる、という目論見だったらしい。しかしこの直後、バブルははじけ、運用益激減、巨大赤字が累積した。その結果、線路・車両保守点検の手抜きと相成った。
その後も青函トンネル内での火災、その他いくつかの事故が連続して起こった。北海道新幹線開業まで、もう僅かであるが「おいおい、大丈夫かよ!」と思ってしまう。
さて十数年先に新幹線が札幌まで延伸される。その後、函館本線の小樽・函館間は「並行在来線」となるので、経営は「JR北海道」から分離され、第3セクター化される。江差線はすでにそうなった。
第3セクター化は県レベルで行われるため、東北・北陸新幹線では実に妙な運航形態になっている。北海道の場合、そのようなことはないだろうが、函館本線二五〇キロはいかにも長い。
先日の地元紙では「札幌延伸後の在来線・長大三セク残せるか」という記事があり、お手本として九州の八代・川内間「肥薩おれんじ鉄道」があげられていた。新幹線開業の前、熊本から鹿児島までの移動の折、この区間に乗ったことがあるが、新幹線ではほとんどが山の中。しかもトンネル続き。
そこで「新幹線のトンネルの多さを逆手に取った」と、海沿いの一二〇キロ、4時間余りかけて走りながら、地元食材をふんだんに使った料理を提供する列車「おれんじ食堂」を走らせているのだそうだ。車内のテーブルはすべて海向きで、しかも「木材」を多用しているという。これなら乗ってみたくもなる。
江差線も似たような計画が進行中だそうだが、四〇キロ足らずだから、やや短すぎる感じもする。
(徒然亭)