木材保存誌コラム

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縦書き・横書き

みちくさ vol.41 No.2 (2015)

本会会員も多く入られている木材学会は今年で創立六十周年になる。これを記念した出版物を出すことになり、今、その仕上げの段階に入った。何しろ「一般市民向け」ということなので、専門用語の使い方などに非常に苦慮し、幾度も書き直した。その「修正稿」ができる度に送付するものだから、編集担当の方は、さぞ迷惑に思われたことだったろう。

昨年までは一年に数回、地元ローカル新聞にも寄稿していた。その時も同様であった。原稿執筆が遅れ、提出が締切直前になる。しかもそのあとにも決まって手直しをするのである。編集長からは「毎度のことで、編集部員は慣れとります」と言われた。

手直しをする理由はいくつかある。簡単な「てにをは」や「この言葉、読み手に分かるか」もあるが、「文章体裁上、読みにくくはないか」といった点からの修正も多い。とくに新聞などは縦書きで一行に十三字ほどしかないから、適当に区切らないと一段落がかなりの行数になってしまって、だらだらした感じになる。そこで提出原稿を仕上がりフォーマットに合わせたうえで、これを直すのである。

縦書きで困るのは、英数字の表記法である。原稿は主に横書きであり、英数字は半角にしているのだが、これが印刷されると「L V L」「1982年」、「105mm 」という具合に仕上がる。「LVL」はともかく、数字の方は、やはり「一九八二年」「一〇五ミリメートル」と書いたほうがしっくりくるようにも思うのだ。

ただし数式、化学式、小数点のついた数値、となると縦書きにはどうにもそぐわない。やはり横書きの方が楽だよな、などとも感じていた。

そんなとき、本棚をひょいと見ると、随分以前に買った「分かりやすい日本語の書き方(講談社現代新書)」というのがあった。著者は「文書添削の鬼」の異名をとった大隈秀夫氏。これを再読する。

面白い、というか、実に勉強になる。なかに「言葉の重複は見苦しいので気を配る」「言い換えの語を多く覚える」とある。ふんふん‥。

そして「書き出しの一行で勝負は決まる」ともある。あわてて本文の書き出しを替えた。とたんに表現が重くなった。

(徒然亭)

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