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害虫退治に大奮闘の回-サンドフライ編1-
みちくさ vol.37 No.1 (2011)
隣国のオーストラリアにはシロアリもゴキブリも普通にいるのに、当地ニュージーランドにはなぜかこの2種はいないようで(現地人談)、快適な国だなあと思っていましたが、そうはうまくいかないようです。当地では代表的な厄介虫としてハエとサンドフライの2種が挙げられると聞きます。どうやってこれらを克服していけばよいのかを考えることにしました。
サンドフライをご存知でしょうか。私は知りませんでした。当地には蚊よりもたくさんのサンドフライがいるらしいのですが、何でも知っているWikipedia先生でも日本版には掲載されていないようです。現地版のWikipediaやその他のインターネットのサイトを見る限りでは、ブヨのような人の血を吸う小さな昆虫でハエに見かけが良く似ており、水辺を好み、夏の朝方夕方に大量発生し、免疫のない人が噛まれる?と赤くはれ上がり、その痒さは蚊の比ではなく2週間以上に渡ってかゆみが継続し、夜も眠れないほどとなっています。日本の蚊取り線香や虫除け、痒み止めは効果がないとの不満の声が聞かれます。
良く分かりませんが、非常に恐ろしい虫だということが容易に想像されます。こんなものに刺されたら大変なことになりそうなので、夏前から予防策を張ることにしました。まず敵を知るために、PubMedで論文検索を行った結果、サンドフライはオセアニアに生息するのみでなく、南米やアフリカにも大量に生息し、むしろこちらで病気を媒介する害虫としてWHOのやり玉に挙げられていることが分かりました。予防策を研究した論文は多数見られますが、代表的なものとしてピレスロイド系薬剤が有効なようで、天然のピレスリンも効果があると述べられています。ということは、日本の蚊取り線香が効かないということはないでしょう。恐らく、日本の蚊取り線香のピレスロイド系薬剤もある程度は効果があると思われますが、これは蚊をターゲットにしたものなので、サンドフライには別の種類のピレスロイド系化合物がより有効だということが正しいかもしれません。実際、スーパー等で売られているスプレー式の殺虫剤でサンドフライに有効だと書かれているものはピレスロイド系薬剤の混合物の組成となっています。
虫除けはどうでしょうか。薬局でサンドフライ用の虫除けを見てみると主要なものはDEETが主成分となっており、濃度40%なんてものも普通に売られています(最大で80%まであるようです)。普段はリスクとベネフィットだと説いていますが、さすがに熱帯雨林に行くわけでもないのに、これはためらわれます。新成分と大きく書かれたものを何個か見つけると、こちらはいずれもピレスロイド系薬剤の単一組成となっています。しかしながら、日本でもDEETを配合した虫除けは普通に売られていることから、日本の虫除けが効かないということもないように思えます。濃度の問題でしょうか。
サンドフライ用の痒み止めを買おうとすると、痒み止めのみのものと、痒み止めに抗炎症剤を配合したものの2種があると薬局の人が説明してくれました(ような気がする)。抗炎症剤入りのものを買っておけば大丈夫だろうと考え、後者を購入しました。 そして、ついに夏がやってきました(つづく)。
(世界の木窓から)