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平均寿命と健康寿命

虫めがね vol.48 No.4 (2022)

わたし自身が後期高齢者の仲間に入ったせいか、新聞などを読んでいると、「寿命」という文字が目につくようになった。

わが国の平均寿命は令和二年現在で、女性が八七・七四歳、男性は八一・六四歳である。これは、女性は世界一位で、男性はスイスに次いで世界二位である。なかなかの長寿国である。この我が国の長寿化は長い間かけて徐々に進んだものではなく、一九四七年頃から急激に長寿化が進んだようだ。わたしが子どもの頃は、会社の定年は五五歳であったし、六〇歳と言えば長寿者として還暦のお祝いをした。七〇歳の老人と言えば非常に珍しい高齢者であった。八〇歳の高齢者などは身近には居なくて、新聞などで長寿者として紹介されているのを見るようであったと記憶している。でもこの平均寿命の数字には少し違和感がある。なぜなら、生後数ヵ月で亡くなった人もこの平均値には加えてあるし、寝たきりの高齢者も入っている。それで健康寿命というのを調べてみた。これは女性が七五・三八歳、男性は七二・六八歳となり、男女の差は小さくなる。健康寿命とは、WHOの定義によると「心身ともに自立し、健康に生活できる期間」とある。要するに人が誰かの介護を受けずに、日常生活を支障なく送れる期間である。平均寿命と健康寿命の差は、男性が八・九六歳に対して女性は一二・三六歳と大きい。女性の方が介護を受けながらも、まだまだ頑張って生きているということらしい。

時間は万人に平等に与えられ、過ぎていくが、年齢は平等では無いようだ。わたしが日頃楽しんでいるテニス仲間の先輩に八七歳という男性がいる。彼は脚・腰ともに敏捷でテニスの玉が来たら、その方向へ素早く動き、すばやく打ち返す。わたしなどは二ゲームもすると疲れて休憩を必要とするが、彼はそのまま三ゲーム目も続けてやるし、苦にもならないようだ。とても八七歳とは思えない。七〇歳代の前半ではないかと思える。彼はテニスをやらない日は近くの標高三〇〇mくらいの小山に登ったり、趣味も多彩で麻雀や陶芸や家庭園芸を楽しんでいる。長年連れ添った伴侶に先立たれると、特に男性は気が滅入ってしまい、元気が無くなり、急速に老けてしまうのが一般的だ。しかし、彼は七年ほど前に奥様が亡くなられたが、今では自分で掃除洗濯をし、食材の買い物にも出かけ、自分で料理をして、楽しんでいるように見える。

今年六月に世界最高齢で太平洋をヨットで単独無寄港横断を達成した堀江謙一氏は八三歳という。三ヵ月以上かけて航海し、兵庫県西宮市のヨットハーバーに到着した時の彼の言葉は、

「今が青春まっただ中」

であった。

♪八十路超え まだ負けられぬスニーカー

(赤タイ)

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