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川柳と俳句

虫めがね vol.44 No.5 (2018)

数年前から近くのカルチャーセンターの川柳教室に通っている。そのことを友人に話すと、俳句と川柳はどう違うのですかと質問がくる。俳句は自然を題材に詠む、いわば「風景画」です。季語もあれば切字もある。川柳は五・七・五で詠むのは同じですが、季語はなく自分という人間を素材に詠む、いわば「人物画(自画像)」ですと説明する。すると次に、あなたの代表作を紹介してくださいと言われる。この場合、その友人は「あはは」と笑う川柳を期待していることが多い。いわゆる、ユーモア川柳である。新聞などに出てくる川柳にはそういうものが多いせいであろう。わたしが学んでいるのは「現代川柳」と呼ばれ、ユーモア性は少ない。それで、友人に代表作を紹介しても、期待に添えないことが多い。

日本では俳句人口が多く、川柳は少数派である。わたしが通っているカルチャーセンターでも、俳句の教室が五つもあるが、川柳教室は一つだけで、受講者も少人数である。また、新聞の文芸欄を見てもほとんどの新聞が俳句を取り上げているが、川柳は少なく、ほとんど取り上げない新聞もある。

では、何故、わたしが俳句をやらずに川柳を学ぶ気になったかというと、風景画の俳句よりも、人間の生き方や心象を詠む川柳のほうが、人間味があって、興味があったからである。

最近は俳句ブームと言われている。その火付け役は、TBS系列テレビの「プレバト‼」というバラエティー番組である。毎週いろいろな芸能人たちが作った俳句を講師の夏井いつき先生が「才能アリ」「凡人」「才能ナシ」の三段階にランク分けする。出演の芸能人との歯に衣着せぬ辛口のやり取りや、芸能人の俳句を的確に解釈し、そして添削して見違えるような作品に仕立て直す、その鮮やかさに、俳句のファンでなくても面白くて、視聴率が高い人気番組となっている。わたしは、川柳をやっているが、いろいろと共通点も多く、勉強にもなるので、毎週見ている。

無くても分かる言葉をぎりぎりまで削って、五・七・五に仕立てる。句の内容には誰でもが考え付くようなものはダメで、「オリジナリティ」が大切である。また、その句を読むことによって中身が映像として浮かび挙がることが大切であるなど、夏井講師が言われることは、川柳にも通じるのである。

わたしのこのエッセー「虫めがね」を読んでおられる方は、すでに気づかれた方もあると思うが、本誌の四十一巻四号から、恥ずかしながら、わたしの川柳を最後尾に付け加えることにしている。

♪進化したサルに苦労も心配も

(赤タイ)

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