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クルーガー野生動物国立公園
虫めがね vol.42 No.5 (2016)
今年の一月に南アフリカ共和国の東北部にある、クルーガー国立公園に行った。公園とは言え、わが国の四国四県を上回るほどの広大な面積を持つ鳥獣保護区である。ここでは野生動物たちが自然のままに棲息している。この自然のままの野生動物を見たいと思ったのがこの国立公園を訪問した目的である。
広大な面積に動物たちは自由に動き回っているので、今は、象は何処にいるのか、キリンはどこを移動しているのかは分からない。九人乗りのサファリカーに乗って、動物たちが居そうな場所を目指して移動するのである。うまく象の群れやシマウマの群れに出くわせればラッキーと言うものである。どこに行くかは、サファリカーのガイドである運転手の判断である。うまく動物たちに出会えるかどうかは、このガイドの能力と勘に大いに依存している。
午前中に三時間くらい、午後は二時間くらい、サファリカーであちこち走り回った。キリン、シマウマ、カモシカ、サイ、インパラなどが草原で草を食べている姿や、カバやワニが沼池に潜んでいる姿を近くから見ることが出来た。ラッキーだったのは、三十頭を超える親子連れの象が集団で移動しているのに遭遇したことだ。わが国にもあるサファリパークなどでは見ることが出来ない光景である。象たちは我々が近くにいることを気にする様子もなく、大きな母親象や小さな子ども象などの群れが、どやどやとわれわれの眼前を横切って行ったのは壮観であった。シマウマの群れにも遭遇したが、彼らはのどかに草を食んでいた。昼間はライオンなどは襲ってこないことを知っているのか、周囲におびえる様子もなく、のんびりと草を食んでいるように見えた。
食獣動物であるライオンやヒョウは、早朝に獲物を狩りに活動するが、昼間はほとんど木陰に眠っているので見ることが出来なかった。ほかの動物たちも昼間は暑さを避けて、昼寝の時間なのか、真昼間の数時間は、ほとんど大型動物は見かけなかった。
ガイドの運転手によると、「今年は雨が非常に少ない。それで動物が少なくなった」そうである。確かにところどころで見た川の水は涸れていた。雨が少ないと動物たちの飲み水は乏しくなり、草木は育たない。草木を主食とするシマウマやインパラやカモシカたちは生きるのに困るだろう。彼らにとって、敵は自分たちを襲ってくるライオンやヒョウではなく、厳しい環境(旱魃など)である。
♪キリンさん迷惑そうにこちら見る
(赤タイ)