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会長からのメッセージ

2021年メッセージ

masseage(公社)日本木材保存協会の会長に私が就任いたしましてから、早4年が過ぎ、3期目を迎えています。この間、気候温暖化のためか、毎年のように台風や豪雨による甚大な被害が各地で発生しております。被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。また、2020年から本年においては、新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外ともに多くの場面で深刻な影響を受けております。そのため、当協会でも事業や会議の多くをオンラインで対応をすることが余儀なくされてきました。一方、このような過酷な状況におかれている中でも、当協会においては大過なく安定した運営が行えてきたと存じております。これについては関係する皆様のご理解とご協力の賜物によるかと思います。この場を借りて、あらためて心から御礼申し上げます。

当協会では、創立以来、木材を建築物や構造物として長期間にわたって、健全に利用していただくための技術開発ならびにその普及を通して広く社会の公益に貢献していくことをミッションとしております。木材保存に関わる調査・研究、それに基づいた制度や規格の制定、木材保存処理薬剤や保存処理木材の性能評価と登録認定、木材の防腐や防蟻処理等を管理する木材保存士や家屋等における木材の劣化状態を診断する木材劣化診断士の資格認定、木材劣化診断技術の向上のためのCPD研修会の実施、さらに機関誌「木材保存」の刊行や書籍の発行により木材保存に関わる最新の技術や情報の提供、そして、研究発表の機会を設けて、木材保存を支える基礎科学や応用技術の啓発活動や顕彰等の事業を行っております。今後とも、この方針と責務を継続していくとともに、さらに木材保存の分野を通じて、2015年の国連サミットで採択された2030年を目標とするアジェンダSDGsや同年のCOP21で採択されたパリ協定の趣旨にも沿う形で地球環境の維持や持続的社会の実現に向けて貢献していく所存でございます。

また、政府の森林・林業・木材利用分野の政策として、2019年に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、これと合わせて2020年度から新たに森林経営管理制度が導入され、各市町村および都道府県に給付された森林環境譲与税を原資として人工林の森林整備、森林整備の促進に関連する人材育成・担い手の確保、地域の木材利用の促進や啓発活動等が推進されてきております。さらに、本年(2021年)6月には、「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が改められ、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が成立し、今後、公共のみならず民間の中大規模木造建築物の導入促進をはじめ、様々な場面で木材利用が加速化されていくこととなると思われます。これらのことをおい風として、当協会でも、防腐、防蟻はもとより、耐候、難燃を含めて幅広く木材保存のあり方と可能性をとらまえて、木造建築物や構造物の長期間にわたる使用の安全安心に対する社会からの期待に応えて行く必要があると言えます。

さて、本年に我が国での開催を予定していた国際木材保存会議IRG52についてはコロナウイルス感染拡大の影響により、やむを得ず、オンライン会議として行われることになりました。開催のために準備を重ねてきた当協会をはじめとする日本人関係者に取りましては大変に残念な方向となりました。一方、国際貿易や環境問題を考慮した木材保存に関する国際的な相互理解と協力の重要性は変わりませんし、高耐久木材製品の輸出を掲げる我が国としては木材保存分野でイニシアチブを取っていくことが大きな課題と言えます。このようなことから、現在、2025年に再びIRG大会を我が国に誘致すべく活動を進めております。

以上のことを踏まえ、「木材の品質及び耐久性の向上を図り、国民生活の向上及び地球環境の保全に寄与する」木材保存の次世代を目指して、さらに活動を展開していきたいと存じますので、皆様の一層のご理解とご協力を、何卒、宜しくお願い申し上げます。

令和3年(2021年)8月吉日
公益社団法人 日本木材保存協会
会長 鮫島正浩

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