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協会記事
2011年 Vol.37-No.4
1.会議
(1)第33回通常総会(5月27日)
東京都港区芝公園メルパルク東京において出席者298名(委任状を含む)をもって開催した。
今村会長から,①平成21年12月に農林水産省において,10年後の木材自給率50%以上を目標とした『森林・林業再生プラン』が策定され,平成22年11月には森林・林業再生プランを推進していくための具体的な施策の方向性を取りまとめた『森林・林業の再生に向けた改革の姿』が公表された。また,平成22年5月に公布された『公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律』が平成22年10月より施行され,農林水産省,国土交通省において『公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針』が策定される等,具体的な施策の展開が行われてきている。このような状況は,我々木材利用に携わっている者にとって強い追い風が吹いているといえるものである。
②こうした中で,本年3月11日に東日本大震災が発生した。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし,被災された方々にお見舞い申し上げる。当協会としても復興に向けてできることから取り組んでいきたいと考えている。
③木材利用拡大の背景には,資源ナショナリズムの高まりに加えて,木材を利用することにより得られる森林育成効果,炭素貯蔵効果,省エネ効果,化石資源節約効果など,地球温暖化防止に寄与する役割があると考える。木材保存は耐久性を高めることによって木材中の炭素固定の期間を長くするわけであり,これは地球温暖化防止にとって一つの有力な方策となってくる。木材をできるだけ利用する,そして耐久性を向上させて長く使う。こういったことについて積極的にアピールしていきたいと考えており,このため,本日の総会で,協会としての『環境宣言』の採択を提案させて頂きたいと考えている。
④さて,従来から準備を進めてきた公益法人制度改革に伴う法人組織の見直しについては,今年中に公益社団法人への移行認定申請の手続きを行いたいと考えている。そのため,本総会において定款の変更をお願いするものである。こうした法人組織の見直しは,我々が従来から実施している各種事業が国民生活の向上にどのように寄与しているのか,役立っているのか,それを改めて見直してみる良い機会と思っている。特に公益社団法人化を見据えた場合は,財政基盤の確立とか業務内容の改善について,会員の皆さんや行政,関係団体からご意見を頂いて,検討を深めて行きたいと考えている。
⑤協会の基盤は会員の皆さんの強い支えによることは言うまでもない。今後ともご支援,ご協力をお願いする旨の挨拶があった。
続いて来賓の荒井林野庁木材産業課林業・木材産業情報分析官から,次の挨拶があった。
①3月11日東日本大震災が発生し,木材産業においても大きな被害を蒙った。復旧,復興にあたり,仮設住宅に供給する木材が不足しているなどと新聞等で報道されたことがあったが,関係者のご協力を頂いて,実際上は大きな混乱もなく木材の供給は順調に進んでいる。
②平成22年11月に森林・林業再生プランの具体的な施策の方向性が取り纏められた。この再生プランは木材自給率を50%以上にすることを目標としているが,基本的には国産材の需要拡大が大きな目的となっている。そういう目標に向かって,4月22日に森林法の改正が公布された。今回の森林法改正は森林・林業再生プランを法制面から後押しするもので,森林は関係者が協力してまとまって作業していく,まとまって作業をすることで効率的な丸太の生産や山からの搬出を行っていく,そういう制度を法律の中で整備していこうというのが今回の改正の基本的な流れである。
③こういう川上側の取り組みと合わせて,川下側においては,平成22年10月に『公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律』が施行された。この法律は公共建築物に木材を使っていこうとするものであり,国の『公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針』を受けて,20数道県においても基本方針が策定されているところである。このように川上側,川下側において木材利用に関する新しい流れができたわけであるが,これを現実の木材需要拡大に結びつけていくためには,森林,林業や木材産業の重要性についていかに国民に理解してもらえるかであり,そのためにはそれにふさわしい製品を供給していくことが重要であると思っている。そういう面からも貴協会の技術開発に対する取り組みに期待するところである。
④公益法人の運営にあたっては,国民の視点にたってどう貢献していくか,寄与していくかの検討が大事であると考えている。そのようなことを踏まえながら,より良い木材の保存が推進され,そしてそれが広く国内のいろいろな分野に使われることを祈念する旨の挨拶があった。
このあと議長に今村会長が選出され,さらに議事録署名人に,独立行政法人森林総合研究所の片岡厚氏及び児玉化学工業株式会社の荊尾浩氏が選任された。
議案の審議に入り,第1号議案「平成22年度事業報告書および決算書承認の件」,第2号議案「平成23年度事業計画及び収支予算決定の件」が原案のとおり承認された。
引き続き第3号議案「定款変更の件」が原案どおり承認された。なお,「当協会はこの度の公益法人制度改革にあたり,公益社団法人への移行認定の申請を行いたいと考えている。公益社団法人の申請にあたっては,新しい制度に沿った定款が必要となるので,本総会において定款変更を諮るものである。なお,簡易な字句の修正がある場合は事務局に一任をお願いする。また,変更された定款は公益社団法人の設立後から適用されるので,それまでの間は,現行の定款,すなわち変更前の定款がそのまま適用されることを申し添える。」との補足説明があった。
引き続き第4号議案「環境宣言採択の件」について 環境部会の桃原部会長が説明し,原案のとおり承認された。
続いて本年が役員の改選期に当たることから第5号議案「役員改選」に入り,選考委員会選考案のとおり選任された。
議案審議のあと,第22回木材保存技術奨励賞が手塚大介氏(兼松日産農林(株))に,第8回木材保存学術奨励賞が吉田誠氏(東京農工大学農学部)に授与された。
引き続き,年次大会におけるポスター発表の中から選考されたベストポスター賞が,岩橋あさみ,松村順司,小田一幸,松永浩史,桃原郁夫6名共同によるポスター発表に授与され,優秀ポスター賞が,堀裕紀,森田珠生,荘保伸一3名共同によるポスター発表に授与された。
(2)緊急理事会(5月27日)
総会終了後開催された緊急理事会において,総会で選任された理事のうちから,会長に今村祐嗣氏(京都大学名誉教授),副会長に田中隆行氏((株)ザイエンス),山本英樹氏(バイエルクロップサイエンス(株)),飯島倫明氏(東京農業大学),常務理事に竹内孝常氏((社)日本木材保存協会)が互選された。
第33回総会及び緊急理事会で選任された新役員は,別掲「役員名簿」のとおり。
(3)広報委員会 HP部会(6月14日)
協会ホームページの刷新について,審議した。
(4)認定委員会(6月29日)
木材保存剤等の認定(更新・変更)について,審議した。
(5)広報委員会(6月14日)および同幹事会(7月8日)
木材保存誌Vol.37,No.4の編集・校正を行った。
2.事業
(1)第27回年次大会(5月27日)
東京都港区芝公園メルパルク東京において第27回年次大会を開催した(参加者180名)
6件の口頭発表及び17件のポスター発表が行われ,活発な質疑応答がなされた。なお,ポスター発表は45分のポスターセッションを設けて実施された。本年はベストポスター賞1件,優秀ポスター賞が1件選考された。
この後,第21回木材保存技術奨励賞の森田珠生(越井木材工業(株))及び第7回木材保存学術奨励賞の町田初男氏(群馬県林業試験場)による授賞記念講演が行われた。
引き続き,「公共建築物の木造計画・設計基準を知る-構造・耐用性・防耐火性の観点から-」をテーマとしたシンポジウムが開催され,土居修一氏(筑波大学大学院生命環境科学研究科)司会(コーディネーター)のもと,パネリストの腰原幹雄氏(東京大学生産技術研究所),中島正夫氏(関東学院大学工学部),長谷見雄二氏(早稲田大学理工学術院)によりパネルディシカッションが行われた。
(2)「製材の日本農林規格」の見直し検討委員会(6月16日)
「製材の日本農林規格」の見直し検討委員会が開催され,製材のJAS規格の改正案について審議した。協会からはオブザーバーとして竹内孝常常務理事が出席した。
(3)第4回木材劣化診断研修会兼更新研修会(7月14日~15日)
第4回木材劣化診断研修会兼更新研修会を兵庫県丹波年輪の里において開催し,22名が参加した。
(4)「木材保存」Vol.37 No.4を発行。(7月25日)
3.その他
(1)第42回国際木材保存会議(IRG42)(5月8日~12日)
第42回国際木材保存会議(IRG42)が5月8日~12日の間,ニュージーランドのクィーンズタウン市において開催された。約24ケ国,約170名(日本の参加は2名)の参加があった。第43回は,2012年5月6日~10日の間,マレーシアのクアラルンプール市で開催される予定である。
〈別掲〉役員名簿
会長
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今村祐嗣 | 京都大学名誉教授 |
副会長
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田中隆行 | (株)ザイエンス代表取締役 |
山本英樹 |
バイエルクロップサイエンス(株) エンバイロサイエンス事業本部開発普及部長 |
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飯島倫明 | 東京農業大学地域環境科学部教授 | |
常務理事
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竹内孝常 | (社)日本木材保存協会事務局長 |
理事
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有馬孝禮 | 東京大学名誉教授 |
梅咲直照 | 住友林業(株)理事・筑波研究所長 | |
尾崎慶太郎 | 児玉化学工業(株)取締役 | |
加藤寛也 | 三井化学アグロ(株)執行役員・PPM事業部長 | |
鮫島正浩 | 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 | |
角和憲 | 九州木材工業(株)代表取締役会長 | |
平田俊次 | ミサワホーム(株)取締役・常務執行役員・商品開発本部長 | |
藤井義久 | 京都大学大学院農学研究科准教授 | |
工藤正 | フクビ化学工業(株)営業本部商品開発部長 | |
越井潤 | 越井木材工業(株)代表取締役社長 | |
辻本吉寛 | 積水ハウス(株)総合住宅研究所技術研究室部長 | |
深瀬美喜 | 兼松日産農林(株)木材・住建事業部保存木材部長 | |
蒔田章 | 大日本木材防腐(株)執行役員・研究開発グループ長 | |
美馬伸治 | 住友化学(株)生活環境事業部マーケティング部主任部員 | |
幹事
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木口実 | (独)森林総合研究所木材改質研究領域機能化研究室長 |
林誠二郎 | (株)オーシカ中央研究所長 |
(社)日本木材保存協会のホームページが新しくなりました
本協会のホームページは2000年に開設して以来,10年以上が経過したことから,今の時代に適応した内容に刷新するべく,広報委員会の中に HP部会(羽生部会長)を設立し,検討してまいりました。
このたび,6月1日よりサーバーを移転し,新しいホームページを開設しましたのでお知らせいたします。
新しいホームページでは,会員をはじめ多くの方々に利用して頂くため,内容豊富で利用しやすいものをめざしました。今後は,新しいホームページからより多くの情報を発信し,より多くの方々の利便をはかれるよう,さらに改善に努めてまいります。
新しいホームページは,6月1日から下記アドレスで公開されました。